性犯罪・性的表現・ジェンダーに関しての様々の問題について

元ライターでもあった国内外ロビイストからの視点

未成年略取・誘拐事件から考える怖い「もしも・・・」の事

三重県の中学2年生の女子生徒が行方不明になり、後に30代男性に連れられたことが判明し無事保護された事件。
この事件で逮捕されたネットで知り合った30代男性が家出をしようとしていた女子をそそのかして連れ去ったことが示唆されております。

行方不明事件の多くは、そもそも未成年の少年少女が強引に連れ去られ、最悪の場合は殺害されてしまうというケースもあるのですが、今回のように本当に女子生徒の方が家出を望んでいたこととインターネットで知り合った男性の目的が一致してしまうことも実は少なくないようです。
こういった行方不明事件では公開捜査に踏み切った後、様々な進展もあったからこそ、無事女子生徒が発見することができたというところもありますが、もしもこのような事件で保護者も保護監督の役割を果たそうとしていなかった場合だったら、事件が発覚しなかった恐れもあると思います。

ある専門家に伺ったのですが、公開捜査どころか、事件として発覚していない見知らぬ人による家出少年や少女を連れ去って生活しているケースが存在していると述べられ、それらの中には保護者が子に対する教育をまともにしようとしなかったことで保護監督放棄に至ってるケースまであり、行方不明になった児童がいるにも関わらずそれらが放置されてしまうことがあるようです。
もしそうなってしまえば見知らぬ人がこういった少年少女を互いに同意しあった上で誘拐された場合で保護者が通報しなければ事件が発覚できないということも起こりかねないでしょう。

一般的には「そのようなことはあるわけがない!」と思われる「子を持つ親」もいるかと思います。
しかし現実にはこのような深刻な事態もこっそりあるということになれば、放置するわけにもいかないでしょう。
子供に間違った考え方を持たせてはなりませんし、ましてや子供が家出をするようなこと自体を避けなければならないのが親の役目でもあります。
そして他人の子供であろうとも、間違った考え方を持たせるべきではありませんし、家出をして見知らぬ人のところに行った結果、様々な社会への弊害が起こされることも回避しなければなりません。

失踪事件や家出、そしてそれに伴う犯罪を防がせる意味でも、たとえ他人の保護者までも、他人による未成年を連れ去ってもいいという考え方を持たせてはいけません。こういった保護監督義務のさらなる強化とともに、略取や誘拐に関しても非親告罪化していくよう法改正させることが欠かせません。

忘れてはいけませんが、あくまでも誘拐が発生したとわかっても、現行法の刑法では、
・未成年略取・誘拐罪(224条)、とこの罪を幇助した罪(227条1)
・わいせつ・結婚目的誘拐罪(225条)、とこの罪を幇助した罪(227条3)
・以上の未遂罪(228条)

これらは当事者本人やその保護者でなければ事件を訴えることができない「親告罪」になっていることに注意していただく必要があります。(営利目的略取・誘拐罪(225条)、とこの罪を幇助、収受した罪(227条3)身代金目的略取・誘拐罪(225条の2)、とこの罪を幇助した罪(227条4)国外移送目的略取・誘拐罪(226条)身代金目的略取等予備罪(228条の3)などが非親告罪となっています)