性犯罪・性的表現・ジェンダーに関しての様々の問題について

元ライターでもあった国内外ロビイストからの視点

韓国の最新の性犯罪対策と課題

6月に入り、韓国では新たな性犯罪対策として法改正が行われました。

これは、2018年から2020年にかけて起きていた韓国で最も悪質な性犯罪事件である、「n番部屋事件」を受けてのものであり、その性犯罪に関わった者は30万人をも超える、重大事件でもあります。

運営者などの逮捕もありましたが、それまでの法律などの限界もあり、関わったすべての者が摘発できないことや、関与した者が加害のきっかけが日本をはじめとする拠点で存在するダークウェブサイト上の違法または脱法ポルノサイトや、不適切な性・暴力のある創作物に影響を受けての動機による関与が多く見られたことを重く見て、これまでのアチョン法から名前を変えた上でさらなる規制・罰則強化が行われました。

これにより、イラストや創作物、ゲームを含め、児童や青少年に限らず成人が児童や青少年に扮するものも含め、すべての性・搾取・暴力表現の創作物の製作、輸入・輸出に対して5年以上から最大で無期懲役、販売・配布・提供・展示の上映で5~50年の懲役、購入・単純所持・視聴・閲覧だけでも1年~50年の懲役が科せられるようになり、また被害者の親告がなくても摘発できる非親告罪とし、さらには韓国内のサイトなどに限らず、日本など他の国でそれらを製造・売買・所持したりした者についても、韓国内への入国で摘発することが可能になります。

過去アチョン法時代においては司法が不適切判決がなされるなど、法律による適切な処理が行われなかったことが問題視されましたが、文在寅政権が司法・検察改革の実現も果たされたことから三権がしっかり統一されていることでこれまで摘発できなかった犯罪を摘発し、適切にすべての性犯罪者に対し処罰がされることが期待されると言われております。

法規制推進協力者は今後は性・暴力表現のみならずすべての退廃的娯楽産業をしっかり全面的になくすことを進めており、これらは数年以内に実現する見通しであるとも言われております。

一方で課題もあります。それは韓国内の性犯罪者らが他国に亡命する可能性もある指摘もあります。現在は新型コロナウィルスによる対策での渡航が制限されているものの、これらが解除される前に韓国から性犯罪者の海外渡航などには厳しい制限を盛り込ませる法律の制定の検討も韓国では必要でしょう。一方で、性犯罪者でない韓国からの渡航者についての過度な規制は差別を拡大させる恐れもあり慎重な対応も必要です。

特に日本への渡航が急増した場合に起こり得ることは、日本国内での性・暴力表現への規制への妨げが起こり得る可能性もあります。さらには日本では韓国人などへのヘイトスピーチが問題視されていましたがこういった問題が国内の創作物製作者が韓国の創作物関係者の亡命を受け入れる姿勢によって、これまで差別されてきた善良な韓国人から訴えの声が薄れてしまう懸念もあります。